書評: ENDGAME: THE CALLING

ENDGAME THE CALLING

話題の ENDGAME: THE CALLING 日本語版 を読了しました。 Ingress で偶然知り合った U さんに物理書籍を献本いただきました。ありがとうございます。

金色カバーで豪華な装丁の単行本ですが、 約 500 ページとかなりのボリュームがあり、 通勤中に持ち歩いて読むには厳しかったので、 自分は電子書籍版を購入してそちらを主に読んでいました。

この 3 連休にまとまった時間をとりようやく読み終わったので 電子書籍版も含む簡単なレビューをお届けします。

電子書籍

この本の電子書籍版はいくつかのストアから購入できますが、 自分は PC でも読めるからという理由で Google Play 版 を購入してみました。 現在 Google Play では税込み 1500 円のところ 1350 円で買えるセールをやっています。 なお物理書籍の定価は税別 1600 円です。

Android の Google Play Books アプリ で本をまともに読むの初めてでしたが、 この本に関してはフローテキストでフォント・ルビ・図版も物理書籍に正確に一致しており、 快適かつ安心感をもって読み進めることができました。 これなら電子書籍のみでも困ることはないでしょう。 なお Kindle 版 も、サンプルで確認した限りでは Google Play 版と同様のクオリティに見えました。

ただし PC では、 Google Play の書籍ストア から Web ブラウザで読むことができますが、 なぜか物理書籍をスキャンしたものになっておりクオリティが落ちている上、 文中に頻繁に登場する脚注 URL も参照できないという残念な状態になっています。 こちらは早急な改善を望みます。

Kindle 版は残念ながら今のところ PC で読む手段が提供されていません。 最近日本でも始まった Kindle Cloud Reader でも読めないようです。

内容

ストーリーに関してはネタバレになるとまずいので詳しく書くのは避けますが、 私が最後に読んだ小説らしい小説である ニンジャスレイヤー (Togetter まとめ版) 的にいうと、 12 人のプレイヤーが幼少時から訓練を重ねてリアルニンジャめいた能力を身につけ、 現代の世界で始まったエンドゲームの勝者になることを目指して お互いアンブッシュするようなお話です。 プレイヤーも一般人もばたばた死んでいきます。 ニンジャスレイヤーが好きならまず楽しめる冒険活劇と言えるでしょう。

ただしジツとかアイサツとか爆発四散といった荒唐無稽アトモスフィアはだいぶ薄めで、 ネオサイタマとかミヤモトマサシとか古事記みたいな異文化誤解要素は皆無です。 翻訳者のワザマエにより違和感はほぼ完璧に隠蔽された一般人向け小説になっています (ほめています)。

ただまあ、あら探しをするなら、プレイヤーのひとりである 竹田千代子さんのツイート などを見ればその残滓は見つけられます。 マーカス君 は Ingress をプレイしているぞ。

本文中には大量の巻末注がちりばめられており、 それらはみな http://goo.gl/fSY56u のような短縮 URL になっています。 正直いって物理書籍でこれらをひとつひとつ参照するのはだいぶつらく、 これが電子書籍版で読みたくなる理由のひとつでもあります。

URL のリンク先は YouTube だったり Google Maps だったり、 この小説のために立ち上げられた独自サイトだったりと様々です。 きっとそれぞれが 読者がチャレンジするべき謎解き のヒントになっているのでしょう。

ちょっと困るのは前述したとおり PC で読んでまともに URL をたどる方法がないことです。 先にあげた http://goo.gl/fSY56u は謎解きコンテストのユーザ登録サイトなのですが モバイルブラウザではお断り、 さらにはデスクトップブラウザでも WebGL 有効でないとやはり表示できないといった具合で、 多少バランスを欠いている印象がありました。

おわりに

ということで小説本編を読み終わった時点での書評をお届けしましたが、 半分くらいは電子書籍とアプリの出来栄えの感想になってしまいました。 ここで書いたことはすべて Google Play 版 の無料サンプルでも確認できますので、興味のわいた方はぜひ読んでみてください。

私はまだコンテスト登録もしておらず、まだまだお伝えできない魅力が多々あると思います。 いろいろと新しい試みがなされていると思うので今後も注目していきたいです。

2014/10/14 08:05:08 JST