最近の買い物: CompuLab fitlet

fitlet

先日また新しいサーバ PC を買いました。 イスラエル CompuLab が今年出した fitlet という超小型サーバです。

先月下旬に届いたのですがいじる時間がなく、 まだ完全なセットアップができていません。 とりあえずサーバではなくデスクトップマシンとして少し動かしてみたので、 その感想を書きたいと思います。

Google Photos: fitlet-X

経緯

今回 fitlet を購入した目的は、 現在の家庭内ルータ PC の fit-PC2i (2011年2月に購入) と、家庭内サーバの Intense PC (2012年11月に購入) の置き換えです。 3 台とも CompuLab の製品です。

fitlet の特徴は fit-PC2i と同様に超小型かつファンレス設計でありながら Intense PC 並みに (ベンチマークの上では) パワフルな AMD のモバイル APU を搭載し、 さらにオプションで Intel GbE を 4 ポート使用可能であることです。 fitlet 1 台で fit-PC2i と Intense PC の置き換えを狙います。

購入したのは最上位の AMD A10 Micro-6700T および GbE 4 ポートを搭載した fitlet-X-A10-LAN Barebone という構成です。 価格は CompuLab 直販 で本体が USD 330 で、送料・手数料 (UPS) が USD 88 でした。

fitlet にメモリとストレージはついてこないので追加で用意しないといけません。 今回メモリは CFD D3N16000PS-L8G (DDR3L 1600 SO-DIMM 8GB) を 1 枚購入し、 ストレージについては最近使ってない ThinkPad Edge E130 の mSATA SSD Crucial CT256M4SSD3 を流用することにしました。

注文したのは 8月 14 日で納期は 3 週間と言われていたのですが、 実際には 8 月 19 日に発送されて 8 月 24 日には届いてしまいました。

ハードウェア

分解・組み立てはプラスドライバーひとつで簡単にできます。 内部には Intel I211 GbE を 3 つ実装した FACET モジュール の基板があり、これを取り外すとメイン基板上の mSATA SDD のスロットと SIM のスロットが現れます。

反対側のアルミ製ふたを開けると SO-DIMM メモリスロットにアクセスできます。 ファンレス設計のため稼働部品は一切ありませんが、 アルミ製ふたの内側には灰色のシリコングリスが塗布されていました。

SO-DIMM メモリと mSATA SSD を装着して電源を入れると、 ThinkPad Edge E130 でインストールした Ubuntu GNOME 15.04 デスクトップがそのまま起動してきました。

さらに 2 系統の HDMI に ASUS PB278QDELL U2713H をつないだところ、あっさりと 2560x1440@60Hz のデュアルディスプレイ出力ができてしまったので驚きました。 AMD の APU はオープンソースの RADEON ドライバで普通に使えるようです。

このデスクトップの使用感はおおむね問題ありませんが、 解像度が高すぎることもあり、画面更新にややつっかかりを感じることがあります。 Google Chrome の YouTube で適当に選んだ 1080p の動画はスムーズに再生することができませんでした。

よりよいパフォーマンスを求めてプロプラエタリな fglrx ドライバを インストールしようとしましたが、 fitlet Wiki によれば現時点では fglrx は fitlet で動かないようです。 Ubuntu 15.04 の fglrx-updates (15.200) を実際にインストールしてみましたが、 確かに (EE) No supported AMD display adapters were found と出て残念ながら Xorg が起動してきませんでした。

発熱

ファンレス設計のデバイスで気になるのはその発熱でしょう。 fitlet で面白いのは TDP を 1mW から 25000mW まで 1mW きざみで設定できる 機能が BIOS にあることです。 この設定で APU の発熱とパフォーマンスをコントロールできる ということになっていますが、 具体的にどのような制御がなされるのかはよくわかりません。 fitlet フォーラムの説明 によれば、デフォルト設定の TDP 4500mW であれば発熱による速度低下は起こらないだろうということです。

fitlet の内部温度は lm-sensors で計測することができます。 前述の TDP 4500mW のデフォルト設定では GNOME デスクトップ動作中のアイドル状態で 50℃ から 60℃ のあたりで落ち着きました。

root@e130:~# sensors
k10temp-pci-00c3
Adapter: PCI adapter
temp1:        +54.0 C  (high = +70.0 C)
                       (crit = +105.0 C, hyst = +104.0 C)

fam15h_power-pci-00c4
Adapter: PCI adapter
power1:           N/A  (crit =   4.54 W)

radeon-pci-0008
Adapter: PCI adapter
temp1:        +54.0 C  (crit = +120.0 C, hyst = +90.0 C)

Specification によれば Operating Temperature は 70℃ までとあるので多少の余裕はあるようです。 ただし外側のアルミケースがやけどしそうな温度になりますので、 風通しのよいところで使うのでなければ、 追加の放熱手段を考えたほうがいいかもしれません。

今後

今回はデスクトップ環境で fitlet のパフォーマンスや発熱を一通り調べました。 この fitlet はルータ・サーバとして使う予定のものなので、 今後 OS をインストールし直した上で、 サーバ向けに省電力設定を最適化してから実戦投入する予定です。

2015/09/03 06:37:37 JST