最近の買い物: HP EliteBook Folio 1020 G1 Special Edition
6 月中旬に Hewlett-Packard の EliteBook Folio 1020 G1 Special Edition というノート PC を買いました。
だいぶ前から、 毎日持ち歩くことを前提とした普通のクラムシェル型のノート PC (ただし英語配列キーボードに限る) が欲しくていろいろと物色していたのですが、 このたびようやく手に入れることができました。
この記事では EliteBook に Linux をインストールしてしばらく使ってみた大雑把な感想をお伝えします。 詳細なデータや写真については後日補足したいと思います。
購入の経緯
EliteBook Folio 1020 G1 は昨年末にグローバルに発表された機種ですが、 日本で発売開始されたのはわりと最近だったようです。 5 月より HP Directplus がやっていた販売開始キャンペーンで Special Edition がだいぶ安くなるセールをたまたま見つけたのが購入のきっかけです。
それまで自分が購入候補にしていたのは MacBook Pro 13 インチ Retina ディスプレイモデル や DELL XPS 13 Graphic Pro などでしたが、 これらは毎日持ち歩くにはちょっと大きくて重いし、 また満足いくスペックまで CTO すればだいぶお高くなってしまうので、 購入には至らなかったのでした。
EliteBook は上記のハイスペックマシンと比較すると Core M-5Y51 (定格 1.1GHz) 搭載と CPU 性能こそだいぶ控えめですが、 そのぶんファンレスで 1.0kg と圧倒的に軽くモバイル向きであること、 CPU 以外は 2560x1440 ディスプレイ・メモリ 8GB・SSD 256GB と申し分ないスペックでありながら値段がかなり安かったことから購入を決めました。
自分が購入したときは Special Edition が 1,000 台限定で 138,000 円(税抜) からという価格でした。 7 月上旬の一時期にはこれが 129,800 円の大セールという情報 もありましたが、 7 月 12 日の時点では 138,000 円で販売を継続しているようです。 スペックを考えるとかなりお買い得だと思うのですが、 マイナーなせいか、あまり売れていないのでしょうか…。
なお注文時に CTO で英語配列キーボードを選ぶと なぜかプリインストールの Windows も英語版となることに気をつけてください。 私自身は英語版 Windows をいじるのは初めてでしたが、 言語設定を日本語に変更したら問題なく日本語の OS として使えました。
専用オプションとしては 有線 LAN と Dsub ビデオ出力に必要な Ethernet/VGA アダプタがありますので、 有線 LAN が必要な人は一緒に注文しておくとよいでしょう。
ハードウェアの感想
以下は 1 ヶ月ほど Linux をインストールして毎日使ってみた感想です。
ディスプレイはノングレアで視野角も広く十分に見やすいものを搭載しています。 シャープ製のパネルということしかわかりませんが IPS 液晶と思われます。 2560x1440 は自宅の 27 型ディスプレイ PB278Q や U2713H で使い慣れた解像度ですが、 EliteBook の 12.5 型ディスプレイはさすがに小さすぎて スケーリングなしではやはりちょっとつらく感じます。
なお自宅では HDMI 出力に PB278Q をつなげてマルチディスプレイで使っています。 CPU が新しいこともあって 2560x1440@60Hz の出力を標準でサポートしており Sandy Bridge 時代の CPU で苦しんだ問題 はありません。
キーボードは MacBook Air に似たアイソレーション型でタイピングしやすく、 配列もそれほど癖がないので安心して使えます。 個人的には十分満足のいく品質・質感でした。
問題はポインティングデバイスで、 Synaptics の ForcePad というものを搭載しています。 物理ボタンのない全面感圧タイプのタッチパッドですが、 これがお察しのとおり非常に使いにくい代物でした。
Windows では ForcePad 専用のドライバがあるのでまだましですが、 Linux ではカーネルが ForcePad の独自プロトコルに対応できておらず、 ホイールなしの 2 ボタンマウスとしてしか認識しません。 さらにシングルクリックがダブルクリックに化けるなど誤動作ばかりするので、 現時点では外付けのマウスを使うしかない状況です。 Linux で使おうと思っている方はこの点を十分に認識しておいてください。
このあたりのハードウェアの出来が気になる方は、 購入前に実機に触って確認するのがよいでしょう。 Special Editon が ビックカメラで展示している そうです。
CPU・メモリ・SSD は高速で一般的なデスクトップ作業に性能の不足は感じません。 Core M によるファンレス設計でまったくノイズがないのは大きな利点です。 ただし連続的な負荷をかけていると筐体がかなり熱くなります。
さらに CPU の温度が上昇しすぎると動作周波数にリミットがかかり始めます。 70℃ あたりまで上昇すると動作周波数が突然 140MHz 前後まで落ち込み、 安全な温度に冷えるまでの 10 秒近く、 アプリがほぼフリーズ状態といったことが起きます。
このあたりは CPU 性能とモバイル性能のトレードオフであり、 EliteBook は後者をとった機種なので、 このような制約が生じるのはやむを得ないことでしょう。 CPU にガンガン負荷をかけるワークステーション的な使い方のできる ノート PC が必要な場合は Core i3/i5/i7 搭載で排熱設計のしっかりした機種を選びましょう。
バッテリーの性能は正確に計測していはいませんが、 端末エミュレータや Web ブラウザを中心とする 一般的なデスクトップ作業で 5 時間はもつ印象です。
WiFi および Bluetooth には Intel のチップを搭載しており、 Ubuntu であれば標準でインストールされるファームウエアパッケージで トラブルなく使えます。 ドライバ・ファームウェアの品質で苦労することの多い Broadcom や Marvel に比べると安心できる点だと思います (昨年買った Surface Pro 2 の Marvel USB WiFi はいまだに Linux でまともに使えてません!)。
この他にも指紋センサーや NFC ポートなど面白いデバイスを搭載しているのですが、 Linux ではまだ試せていません。
Linux のインストール
EliteBook は Surface Pro をはじめとする一般的な UEFI の Windows 8.1 プリインストール PC と同様の手順で Linux のセットアップをすることができます。
自分の場合 Windows 8.1 はとりあえず残しておくことにして、 16GB の USB メモリに回復ドライブを作成した後に SSD の回復パーティションを削除し、 40GB ほどの Linux 用パーティションを作って Ubuntu GNOME 15.04 をインストールしました。
EliteBook は
Surface Pro 2 とは違い内蔵 Ethernet でネットワークブートができるので、
Ubuntu 15.04 のインストーラをネットワークブートしてインストールしてみました。
ただし netboot.tar.gz に含まれる一般的な
pxelinux では UEFI ブートにならないので、
UEFI PXE netboot / install procedure
の手順に従って grubnetx64.efi.signed
よりインストーラを起動する必要があります。
またこれを起動するには BIOS でセキュアブートを一時的に無効にする必要もあります。
インストール完了後は通常なら Windows の bcdedit.exe
で
{bootmgr}
の実体を EFI Grub に書き換えたりするところですが、
EliteBook では BIOS 設定でデフォルト起動する
EFI アプリケーションのパスを指定できるようになっているので、
これで /efi/ubuntu/shimx64.efi
が自動的に立ち上がるようにしました。
これによりセキュアブートを有効にしたまま gGub が自動起動するようにできています。
まとめ
EliteBook はハイスペックで軽くて Linux もトラブルなくインストールできる上に 英語配列も選べてお買い得という素晴らしいマシンだと思います。
静かで速く快適なので家でもデスクトップマシンの代わりに毎日使うようになりました。 ちょっと高いのですが UltraSlim ドッキングステーション の購入も検討しているくらいです。
唯一の問題点は現状 Linux でまともに使えない ForcePad ですが、 残念ながらこれが解決する見込みは当分ないので、 別途マウスも一緒に持ち歩くといった割り切りが必要です。 それが受け入れられるのであれば、本気でお勧めできる一台だと思います。
2015/07/11 00:06:14 JST